




「知」の共有
秋葉原UDXビルの21階、電気街を眼下に望む日立グループのシンクタンクのオフィスである。我々は与えられた場所においてセキュリティーラインを境目に大きく2つのゾーンを計画した。
一つは来客者が自由に往来の出来る共有部としての多目的スペース/ナレッジゲートウェイ。その空間は定期的に行われるセミナーや来客者向けのプレゼンテーション、社内ミーティングや、休息のためのラウンジとして活用される。また、全般的な業務のサポートを中心としたコンシェルジェデスクを意図的にこの共有部の中に配置することで、来客者と研究者、或いは研究者同士をつなぐハブ機能になり、コンシェルジェのおもてなしの応対がホスピタリティーを感じさせる。機能的には多目的に活用できる場であるが、まさに研究者にとって知識交流を促す公開の場所である。
またもう一つは、研究者のためのワークスペース/ワークステーションである。六角形の単位空間を連続させて配置することでメ通路モを省略し、必ず任意のゾーンを通らなければ自席に到達できないように計画した。これは、偶発的にコミュニケーションの機会を促すための仕組みであり、閉鎖的になりがちな研究者の議論の活発化を意図した設えでもある。
オフィスにおける主役はあくまでも人である。オフィスが変わってもワーカーの思考が変わらなければ何も変わらないことは分かった。しかし、知的生産性向上のための、或いは経営資源である「知」の共有化を図るための仕組みそのものをオフィスで具現化することは出来る。そして継続的な活用の中でこそ「知」は共有化され或いは視覚化され、知的創造活動の場としてオフィスは進化していかなければならない。(榊田倫之)
